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VOL.014 / NOV.03 / NYのART SCENE (1) / FEAT. MATH AND PHYSICS CLUB

今週のWhat's Upでは、全世界で大ヒットを記録した“Lost Highway”をひっさげてまたもや来日することが決定したスーパーグループBonjoviについて紹介!

WORLD ENTAのコーナーでは、今月からNYの様々なアートシーンについて紹介。第一弾は、East Villageのギャラリーで個展を開く若き新鋭アーティストAdam Stennettさんの作品について紹介!斬新であり、ショッキングでもある彼の作品の裏に感じ取れる社会へのメッセージについても掘り下げてリポート!

WORLD ENTA | World Entertainment Report from NY

TOPIC

NYのArt Scene (1)
Art界注目の新人Adam Stennettによる個展 “Use Only As Directed”

今月はここNYで見学・体験出来る様々なArtについて特集します!Artといっても、それは絵画や彫刻のようなFine Artでもあり、音楽や演劇のようなPerformance Artでもあり、Artというフレーズには様々なスタイルやフォーマットが当てはまるのが事実です。人の作るもので人を考えさせる、喜ばせる、感動させる、それがまさしくArtであり、今月のWorld Entaではそんな多種多様なArtをここArtのメッカであるNYからお届けしていきます。ただし、さすがWorld Enta。普通の美術館やショーなどで紹介されるような、既に大衆に紹介されているいわゆるメジャーなArtではなく、今まさに開花しつつある新鋭アーティストや、その内容からメジャーでは取り扱うことの出来ないような斬新、奇抜、そしてときにはショッキングなArtの世界を掘り下げて紹介していきます!

Adam Stennett氏について
画家・Visual Art作家
1972年米国Alaska州生まれ、Oregon育ち。1994年に芸術学校を卒業し、絵の具の入ったボストンバック一つでNYに上京。その個性的で斬新な作風は瞬く間にアート界から注目を受け、既にこれまでの間で彼の作品はNYのChelsea Art Museum,やThe National Arts Clubなどで展示されている... ↓ 続きを読む

NY以外でも、WashingtonDCではIrvin Contemporary等にも出展しており、彼の作品はメキシコ、ロンドン、モスクワなど海外でも展示された実績を持つ。実は今回の個展は3回目で、展示された作品は既に全てBuyerに買われるという程の人気。今回の個展では、彼の最も得意とする油絵の作品も展示されているが、自ら撮影したビデオの作品もあり、まさに多様な才能を持ったアーティストであることがうかがえる。

展示ギャラリーについて
NYのEast Villageにあるギャラリー 31Grandは、フロントとバックの二部屋スタジオのみの非常に小さなスペースであり、展示される作品の数も5-6点のみという、とてもシンプルな作り。内装も基本的には何もなし。ただしこれはこのエリアにある個展ギャラリーの特徴でもある。ギャラリーとしては一見物足りないと思われるかもしれないが、建物そのものよりも、そこで展示されるアートに客のフォーカスを促すという構造は、逆に効果的でもある。

展示作品について
彼の個展は常にひとつのテーマやモチーフで統一されており、作品それぞれがそのテーマに沿って作られている感がある。今回取材した個展“Use Only As Directed”のメインテーマは“人間社会の隠された現実”といったところだろうか。日常の何気ない出来事や動作を描きながら、それと全く矛盾するようなモチーフを取り入れることにより、見るものにショックを与えると同時に、強烈な社会的メッセージを表現する作品が揃っている。モチーフは女性、水、そしてTussin。このTussinというのは、こちら米国でいうと世間で最も頻繁に利用されている液体の風邪薬のことである。

Girl in Water with Tussin (油絵)
今回の個展を代表する一作。プールに浸かっている美しい女性が、飲み物を手に取り、まさに今飲もうとしている。一見、清涼飲料などのコマーシャルのように見えるが、実はこの女性が飲もうとしているのはTussin。この女性の美しさとTussinのアンバランスさが衝撃的であり、また“人はなぜ自らを毒で犯すのか?”“人がいつも自らを癒そうとする現実、もしくは人が自らを癒さなければならない社会的現実”“人間の弱さ”についての強烈な社会的コメントと皮肉を打ち出している。また、現代社会における人間の薬物依存や、人を薬漬けにする薬局業界のビジネス手法についての批判的ニュアンスも含まれている。

Girl With Tussin Looking Left(油絵)
ここでもTussinがモチーフで使われているが、更に衝撃的なのは、それを手にしているのが幼い少女であること。飴玉やジュースを持っているべきはずが、自らの幼い手よりも遥かに大きいTussinのボトルを手にしている。見るものを不安にさせると同時に、彼女が実際にTussinを飲まないよう、ボトルを取上げることが出来ない我々の無力さを感じさせる強烈な作品である。

Girl In Bathtub(油絵)
この作品には上記のような強烈なショックバリューはない代わりに、人間の美しさを全面的に感じさせる。小さく狭いバスルームに浸かる女性を除き見るようなシーンだが、そのシチュエーションを忘れさせるのがこの女性の美しさと、風呂桶の水の流れである。日常で毎日起こるシチュエーションの中で発見できる人間や物の美しさが表現されている感がある。

他にも自ら撮影したビデオのプロジェクト“Harmful Or Fatal If Swallowed”の展示なども行われており、この個展を訪れる客は、彼の多様な才能と表現豊かなスタイルに圧倒されること間違い無し。

全体的な感想としては、彼の作品はモチーフのアンバランスをうまく利用したショッキングなスタイルもあれば、日常の風景にも美しさを発見させる、もしくは日常の中に潜む不安や恐怖などを何気なく表現するというスタイルが入り交じり、アーティストとしての彼の才能の幅の広さを感じさせる。美しくもあり同時に醜くもあるという、まさに人間の本来の姿および人間社会の現実を非常に斬新な切り口で表現できるアーティストである。彼自身に聞いたところ、誰もが気に入るようなありきたりな作品を作る気は全くなく、逆に自分の作品を見た人をUncomfortableにさせることにより、その作品が提起する問題について考えさせる作品を作って行く事が目標であるとのこと。実際に、彼の作品を見る人は、彼の作風が好きか嫌いかというように大きく二手に分かれることが多いという。また、彼の作品は製作過程に平均で3ヶ月-6ヶ月掛かるということであり、今回出展されている作品を見ると、それに相応しい強烈なパワーを感じさせる。

Adam Stennett個展 “Use Only As Directed”
10月11日-11月10日まで
展示ギャラリー
31 Grand
143 Ludlow St.
New York, NY 10002

アーティストWebsite:www.adamstennett.com
ギャラリーWebsite:www.31grand.com

今後のスケジュール

ARTWALK NY 2007 Benefit Auction
11月27日
METROPOLITAN PAVILION
125 West 18th Street, New York, NY 10011
毎年、アーティストやアート好きな有名人が一同に集まりオークションを開催し、その利益でNYのホームレスを助けるという、慈善イベント。俳優のリチャード・ギアと妻のキャリー・ローウェルによって主催されている。このイベントでは過去にJenny Holzer, Ed Ruscha, Brice Marden, Jeff Koons, Cindy Sherman, Chuck Close and Yoko Ono 等も自らの作品を出展。今年はAdam Stinnettも参加する。
詳しい情報はhttp://www.coalitionforthehomeless.org/events

Adam Stennett個展
NEW WORKS ON PAPER AND VIDEO
2008年4月19日-5月25日
Glenn Horowitz Bookseller
87 Newtown Lane, East Hampton, NY 11937
詳しい情報はhttp://www.ghbookseller.com/

ARTIST

Math and Physics Club

シアトル出身の5人組。2004年に友人同士で結成される。著名インディーズレーベルMatinee Recordsにデモを提出したところ見事に気に入られ、翌年には同レーベルからデビューEP“Weekends Awa”yがリリースされる...↓ 続きを読む

The Lucksmiths、Belle and Sabastian等を思わせる、ふわふわと軽く暖かいインディーポップが特徴である。2007年に入ってからはEP“Baby I’m Yours”がリリースされ、現在はThe Lucksmiths の米国内ツアーの前座を勤めるなど、精力的な活動を繰り広げる。

紹介曲: Darling Please Come Home
ARTIST Website: www.mathandphysicsclub.com

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